設計ブログvol.21「透湿防水シート」

久々の設計ブログ(*^_^*)

専門学校で学生に考える力を養ってもらえるように

実務での自分が感じた疑問とそれに対する対応についても

少し混ぜながら講義をしています。その中からこれから

住宅の新築工事をする方にも知ってもらいたい内容について

ブログにしたいと思います。

今回は、外壁の「透湿防水シート」ついてです。外壁は

1次防水として外壁の仕上材(塗り壁やサイディング等)が

雨や風を防いでいますが万が一、目地や通気の隙間から

水が入った場合も2次防水の透湿防水シートが更に内部への

侵入をしないように基本的には施工されています。

現在は、外側から外壁の仕上材、通気層、透湿防水シートの

順に工事されているのが一般的な形だと思います。

この透湿防水シートの役割は外からの雨水は防ぐことの他に

壁内部の湿気を通気層側に排出することなのですが、

多くの現場では透湿防水シートの室内側に構造用合板が

張られています。湿気を通すシートが施工されているにも

関わらず、そのすぐ内側で接着剤によって何層ものベニアを

つけた板がある状態になっているということです。

当然、ボンドによって湿気はかなり通りにくい(個人的には

ほぼ透湿性能はないと思っています。)ものとなっています。

構造用合板が施工されている理由は、構造的な強度が取りやすい、

吹付断熱やブローで吹込断熱を施工するための下地として

張っているなどです。構造用合板を施工するのであれば、

透湿の対策を他の方法で本来すべきなのですが、実際は透湿性能を

無視しているところが多いように思います。外への透湿が

少ないと内部結露による断熱性能の著しい低下や濡れることによる

木材の腐りや劣化のリスクが高くなります。見えない部分であるため、

気付きにくい箇所ということもあるのか、合板による透湿性能の

悪さで問題になっているという話はあまり聞かないのですが、

個人的には透湿防水シートと透湿性能が低いものを組み合わせることに

とても違和感を感じるため、当事務所は構造用合板を外壁に張ることは

ほぼありません。どうしても必要な場合は対策して施工をすると

いうことも検討するかもしれないですが、これまででそこまで

必要になるということもなかったので、まずないかなと思います(^^ゞ

外壁構造用合板を使用していないので、工事コストも少なく提案でき、

木材価格の高騰したときもそれらのコストアップがなく、ダメージが

少なく済んだのも良かったです。

意外と建築の設計や施工に携わっている人間も気付いてないことが

多い部分なので疑問に感じたことは聞いてたり、考えてみることが

大切だと、学生達にも伝えています。